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部下指導編

1.マネージャが持つ「カルテ」

営業マネージャが、目標達成に向けて部下を指導していくためには、まず部下の営業状況を正しく把握する必要があります。

そのためによく行われるのは、「実績資料に基づく部下からのヒアリング」でしょう。

このときに使われる実績資料はどんな資料ですか?
多くは「月次の予実績管理表」ではないですか?

部下の報告を聞きながら、もう少し客観的な検証もできる、そんな資料も用意しておきたいところです。

多忙なマネージャが、各部員の状況を素早く、詳しく知ることができる、ちょうど「医者が使うカルテ」のようなものを。

カルテには、その医者が初めて診る患者でもすぐに診察できるように、「現状」と「履歴」が分かりやすく書かれています。

では、営業部員のカルテはどんな内容がよいでしょうか?

その部員が担当する顧客や商品の、現状(計画達成度)、推移(伸びつつあるのか、落ちつつあるのか)、構成比(重要度)は最低限必要でしょう。

そしてマネージャがそれらの状況を「ぱっ」と把握するためには「絵」にしておくことです。

以下に、その例を紹介します。

 

部員ごとの担当顧客の実績一覧グラフ

部員ごとの担当顧客の実績一覧グラフ

 売上金額と計画比、前期比、利益率などが一覧できます。

 

顧客ごとの売上推移グラフ

顧客ごとの売上推移グラフ

売上金額の棒グラフに商品分類内訳を表示し、計画比、前期比、利益率などを併記したグラフです。
棒グラフに内訳を表示すると、「偏り」や「異常」を見つけやすいグラフになります。

 

顧客別移動年計グラフ(グラフが重なる顧客は非表示にしてあります)

顧客別移動年計グラフ(グラフが重なる顧客は非表示にしてあります)

季節変動に惑わされることなく、各顧客の売上推移を判定できます。
下降現象が続いている顧客については、「構造的要因」があるか否かによって対応方法は変わります。

 

顧客別ポートフォリオ(グラフが重なる顧客は非表示にしてあります)

顧客別ポートフォリオ

ポートフォリオは「売上の伸び率」と「利益の構成比」を算出して、
その交点に売上金額に応じた面積の円を配置したチャートです。

このチャートを使うと、売上と利益の両方を同時に見ることができ、
また多くの顧客の位置づけを分かりやすく表示してくれるのです。
「売上が伸びている(縦軸)」顧客と「利益に貢献している(横軸)」顧客の見分けが簡単にでき、
「重要度」も一目で分かります。

したがってこのチャートに慣れると、マネージャが部下の営業情報を一覧できる、とてもわかりやすい資料になります。

ここにあげたチャートは今期の累計値で描き、各月の位置の「軌跡」も表示しました。
数値に累計値を使用したことで、季節変動に惑わされない推移を読み取ることができます。

 

2.アクションターゲットは顧客と商品

大分昔のことですが、私の知人でIT商社の営業所長だった人から面白いことを聞きました。

彼は当時隣接していた倉庫の在庫商品をいつもチェックしていて、売れ行きが悪い商品があると、翌朝早く出社して、その商品を営業部員の各デスクの上に少しずつ置いていったそうです。
「これは効果があった」と当人は言っていました。

多くの扱い商品がある中で、「何でもいいから売ってこい(売上を上げろ)」というのと、具体的に「この商品を5個売ってこい」というのとでは、指示された側の成果はかなり違うものになると思われます。

単に「売上を上げろ」と言われたとしても、その部下は「何をどこに売りこむか」を考えなければなりません。

マネージャの部下指導にあたっては、この部分の支援がたいへん重要だと思われます。

ほかで売れているものをちゃんと売っているか?
顧客ごとに、売れている内容に偏りはないか?
苦手意識のある商品や顧客はないか?

マネージャの客観的な目で判断して、ターゲットにする商品や顧客の選定と、そのアプローチ方法を指導してあげてください。