販売データ110番

目標管理編2

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3.苦戦の要因の見極め

目標達成を困難にする要因は、大きく「構造的要因」と「そうでないもの(非構造的要因)」の2つに分類されます。

構造的要因 「世の中のしくみ・流れ」に起因する要因 担当者レベルでは解決が困難で、
根本的・組織的な対応が必要
構造的要因の例
・ 新技術の発表によって現行商品の買い控えが起きている
・ 消費者の嗜好の変化(デザインなど)
・ 自社の営業システムやリソースがライバルに負けている
非構造的要因  営業担当者のスキルや意欲に起因している場合が多い
担当者自身の努力やマネージャの指導によって改善できるもの

これからわかるように、苦戦要因が構造的要因かどうかによって対応が大きく異なります。
したがって苦戦の原因を突き止めたなら、それが構造的要因かどうかを見極める必要があります。
それは、 「見つかった原因の背景に、もっと根本的な原因が潜んでいないか、さらにその背景には…」 と追跡する方法で行います。
この掘り下げを行うと、 「一見担当者の努力不足の結果に見える現象が、実は深いところで当社の営業システムに起因していた」 というようなことが見つかるのです。
実例として、「ライバル社の配送システムの改善によって、当社より1日納期が早まった。 その結果、顧客の発注がライバル社にシフトしていた」という経験があります。

 

4.構造的変化を見つけやすい移動年計グラフ

構造的要因によって起きている販売状況の変化を「構造的変化」と呼び、たとえば新技術の登場によって、 現行技術をベースにしている製品の売上が急落するような変化のことをいいます。
このような変化は、あるとき突然起きることもあり、また一旦変化し始めると、そのままでは後戻りしないという性質があります。
では構造的変化を見つけるにはどうしたらよいでしょう? 「変化」ですから、調べるのは「実績の推移」です。
ところが多くの商品の売れ方には「季節変動」があり、単に毎月の実績推移を見ても、
構造的な変化が起きているのか、季節変動による変化なのか見分けがつきません。
そこで季節変動の影響を受けずに推移を見る手段として「移動年計グラフ」を利用します。
このグラフは、毎月の実績を 「その月から過去1年間の合計実績」で表わします。
このようにすると、どの月の数値にも12か月分の実績が含まれることになるので、 季節変動に惑わされることなく、推移を読み取ることができるのです。
さてこのグラフに変化が認められる場合は、構造的な変化かもしれません。
変化の理由を調べ、さらに「理由の理由」を掘り下げながら、構造的な要因があるかどうかを追跡していきます。

[注意] 個別商品の実績の変化を調べるときは「後継品」の有無を確認しておきましょう。 後継品に切り替わったために起きる下降現象を「不振」と見誤らないためです。

「月別推移グラフ」と「移動年計グラフ」の比較例

まず「移動年計グラフ」の性格を確認するために、「月別推移グラフ」と「移動年計グラフ」を比べてみましょう。

顧客別実績の月別推移グラフの例

顧客別実績の月別推移グラフ

ここに表示されたグラフは、実は「伸びている」、「落ちている」、「横ばい」の3つの顧客の例を取り上げていますが、 それぞれに季節変動があるために、傾向が読み取りにくくなっています。

次にこれらの顧客の移動年計グラフを見てみます。

 

移動年計表示したもの

移動年計表示

今度はどうでしょう。 3顧客の実績の傾向がはっきり分かりますね。 移動年計グラフは、季節変動に惑わされない判断を容易にしてくれるのです。

5.構造的要因の発見と解決こそマネージャの仕事

目標達成を困難にしている構造的な要因が見つかったときには、 マネージャがその解決の先頭に立たなければなりません。 というのも、構造的要因を解決するためには、戦略の見直しやリソースの再配分、 取引先や社内の力の結集などを含めた対応が必要になるからです。 昨今の市場の変化はめまぐるしく、新技術・新製品が次々に登場する中で、激しい競争が繰り広げられています。 そのため、年間目標を策定した今期の初めには予想できなかった変化も起きるでしょう。 ときには目標そのものを、「変化を取り入れたものに再編」する必要があるかもしれません。 したがってマネージャには、「販売状況の変化を注意深く見つめて、変化の原因を掘り下げていき、 構造的要因に対しては早く手を打つ」、という使命があるのです。 参考として、あるマネージャが毎月ウオッチしている項目を紹介します。

  •  全営業担当者の実績と内訳
  •  担当者ごとに、上位10顧客の販売内訳
  •  とくにライバルと競合している卸先の実績
  • 主要仕入先の上位商品(構成比70%)の商品ごとの推移
  •  全社合計の仕入先別主要商品別動向(自部署と比較のため)

マネージャの販売動向ウオッチの例

営業マネージャが常に把握しておかなければならないのが自部署の目標達成状況です。

全営業担当者の計画達成状況  (今期累計の販売実績)

全営業担当者の計画達成状況

このグラフのように、各営業担当者の売上高と計画比、前期比を共に表示すれば、 素早く正確に状況を把握することができます。 また、最終目的は今期合計目標の達成ですから、「今期累計の実績」でも確認しておきます。

このようなグラフを各営業担当者の担当顧客や重点商品別に作成しておくと、 部下指導の「カルテ」としても役に立ちます。

 

担当者「リチャード」の担当顧客別移動年計グラフ

全営業担当者の計画達成状況

実績推移を見るときは移動年計グラフでもチェックしておきましょう。 これは顧客別実績グラフですが、担当者別、重点商品別にも作成して、「異常な変化」がないか確認しておきます。

 

 注意顧客の「液晶テレビ」の動向をチェック

注意顧客の「液晶テレビ」の動向をチェック

昨年から液晶テレビの販売で苦戦が続いている「石山商会」の状況を確認した例です。 これは液晶テレビの実績だけを抜き出して、その内訳も含めて移動年計グラフにしたものです。

このグラフから、最近の売上金額の向上と、利益率の大幅な改善が読み取れます。

 

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