販売データ110番

営業会議編

1.みんなの興味を引くZチャート

営業会議で顧客別販売実績をZチャートに表示すると、出席者は高い関心を示すようです。
何度か同席させていただいた会議でも、「自分の顧客を見せて」というリクエストが相次いだり、
同僚部員のZチャートに見入ったりする光景が見られました。
Zチャートは下図のように、月毎の実績(A)と起点からの累計実績(B)、そして各月から過去1年間の合計(移動年計 C)の3つの折れ線グラフを1つのチャートに描いたもので、「Z」の形になることからそう呼ばれています。

単に月ごとの実績を折れ線グラフで示したもの(A)に比べて、Zチャートは「勢いの変化(B)」や「季節変動に惑わされない上昇・下降の傾向(C)」が分かりやすくなるのです。

ZチャートZチャートの詳しい解説

またZチャートには、初めて見る人でも一度説明を聞けばすぐに理解できるというメリットがあります。

会議ではこのZチャートを主要な顧客について順次表示していくのですが、これには2つの効果があるようです。

1つは自分の担当顧客の正確な状況が確認できること。(特にグラフCの確認)

もう1つは同僚の担当顧客の状況もよく分かるので、それが互いの刺激につながること。

そして顧客のZチャートを1つ1つ見ていくと、みんながその顧客に集中する時間が生まれます。

このときにマネージャは、「成功例の応用」、「知恵の出し合い」へと会議をリードしていくのです。

 

2.成功事例の発表は楽しい

Zチャートで顧客ごとの実績を順に見て行くと、伸びている顧客・苦戦している顧客がよく分かります。

このときに大きく伸びている顧客を見つけると、会議出席者の関心は「伸びている理由」に集まるでしょう。

マネージャはその顧客を担当している部員に理由を発表させてください。
担当者の生き生きとした発表が聞けると思います。

実際に行われて、しかも「成功した」話は、同僚への大きなヒントになります。
マネージャはさらに補足質問をして、そのヒントをほかに応用するための、より具体的なレベルまで掘り下げる手助けをしてください。

さて、成功事例でのディスカッションはやりやすいのですが、苦戦している顧客については工夫が必要です。

このときも担当者に状況を発表させるでしょうが、苦戦している状況は話しづらいものです。

話しやすい雰囲気を作り、みんなの親身になった質問・アドバイスが出るようにリードしてください。

その中でマネージャは、苦戦の理由が担当者のスキル・意欲に起因するのか、構造的な要因があるのかを判断しながら指導していきます。

なお、成功・苦戦の原因がたとえば商品分類の「冷蔵庫」の伸び悩みによると思われる場合は、Zチャートの表示を「冷蔵庫の実績」に切り換えてみんなで検証してみてください。

さらにその理由が、冷蔵庫の特定の機種にあると考えられる場合は、その商品の顧客別推移をその場で集計して、それが顧客全体の問題なのか、特定顧客の問題なのかを判断してください。

 

3.チームで共有すべき情報とは?

「見える化」というテーマを通じて、「情報共有」ということがよくいわれます。
このことばには「状況を正しく認識した上で共有しよう」という意味が込められています。

営業チームでの情報共有は、もう一段深堀りしてみませんか?

状況を認識したら、なぜそうなっている、またはなったのかを議論して、応用できる(すべき)テーマと、
逆にやらない(そうならない)ように気をつけるテーマにまで掘り下げてから共有する。

こうすればみんなの日常のビジネスに役立ちますよね?

主要顧客や主要商品を年計グラフで一覧すれば、伸びているもの、落ちているものが一目瞭然です。

「なぜ伸びている?」、「なぜ落ちている?」第一線にいる部員ならたくさんの情報を持っているはず。
情報を出し合って、活発な議論の中から「エキス」を抽出していきます。

通常この議論は、マネージャの次の、「チームNo2」の人がリードしていることが多いようですよ。

 

4.「知恵の出し合い」をリードする

「販売データは宝の山」といいますが、本当の宝は現場をよく知っている営業のみなさんの「頭」の中にあります。

その宝は「情報と、それを知恵に変える力」が一体になったものです。
ただ困ったことに、「必要なときに取り出せるか」ということと、「整理された形で取り出せるか」という保証がないのです。

そこで営業会議では、2人の助っ人を用意してこの宝を発掘します。

1人は会議をリードして、みんなの頭から宝を掘り出す人です。
質問をしたり、成功例や失敗例など、ヒントになるような材料を提供して、みんなの頭を刺激します。
もう1人の助っ人が「販売データ」です。
顧客や商品の実績を見える化して、正しい判断と知恵を引き出す助けをします。

データを見える化すると、問題点を見つけやすくなり、解決法を考える対象もはっきりしてくるのです。

なお、会議の進行をリードする人は、次の点に留意して進めると効果的です。

  1. 話しやすい雰囲気を作る
  2. 多くの知恵を引き出すようにリードする(まずは数)
  3. ヒントや資料(データ)で議論を盛り上げる
  4. よいアイデアを絞り込む
  5. それを「実施してみる」ことができる手順にまで落とす

 

5.上位から見る習慣作り

当然のことですが、全体の目標を達成するには、目標値の大きい顧客や商品から押さえていかなければなりません。
ところが会議になると、構成比の小さい顧客や商品の議論に時間を費やしていることがままあります。
担当者も人間ですから、重要度よりも報告のしやすさで発表対象を選んでしまうのでしょう。
とくに、数字だけの実績表しかない会議ほど、この傾向が強いようです。

では、どのようにしてこれを改善するか。
それは「全項目を上から順に並べて見える化する」ことです。

顧客であれば、全顧客を構成比の高い順に並べて、構成比累計曲線と共に棒グラフ表示する、あの 「ABC (分析) グラフ」 で見せることです。
担当者が実績報告するときには、彼の担当顧客のABCグラフに「計画比」も表示しておく。
これだけで、自然に「上位から見る習慣作り」が行えます。

なお、ABCグラフに単月の実績を利用すると、たまたまその月に発生したばらつきの影響で順位が大きく変わることもありますので、今期の累計値を利用するほうがよいと思います。

 

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  • 部員ごとの実績発表を、担当している顧客や商品のABC分析グラフを見ながら行うようにすると、
    自然に上位のものから発表する習慣をつけることができます。


担当顧客のABC分析グラフ

担当顧客のABC分析グラフ

 このグラフは、営業部員「トニー」が担当している顧客の実績です。

顧客を売上の多い順に並べた棒グラフに、計画比や前期比と利益率、および構成比の累計を表わしたものです。
なお、構成比はこの部署が担当する全顧客に対する構成比です。

また、このグラフの元になる数値は今期の累計値を使い、月ごとのばらつきの影響を受けないようにしています。

営業会議にはこのようなグラフを用意して、常に上位の項目から考えるように指導をしてはどうでしょう。

 

6.その場でデータ集計

会議の中で、成功要因や不振原因を追跡しているときに、その要因になっている可能性が高い商品に対して、
「実際にどれくらい売れているのか確認したい」という要求はよく出てくることです。

また構成比は小さくても、最近急に伸び出した顧客や商品の話題が出れば、だれもがその状況を詳しく知りたいと思うでしょう。

「知りたいときにこそ、速やかにその情報を提供する」、会議が盛り上がります。

世の中には「ピボットテーブルの達人」がいるそうです。
その代わりをするツールもあります。

販売データの中から欲しい情報をその場で取り出して、チームのみんなが、正確な状況認識の下に会議を進めていく
―― こんなことができる時代になっているのです。

 

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  •  「このテレビはどれくらい売れているのか? どの部署が売っているのか?」

「海野商会にテレビがよく売れていると聞くが、どのテレビが売れているのか?」
など、会議での情報交換の中でよく出てくる話題です。そして詳しい状況については、「調べて次回に報告するように」となりがちです。このような情報をもしその場で用意できたら、出席者の関心が途切れることなく、ディスカッションを続けることができます。

テレビ「TV57VE」の部署別販売実績グラフ

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テレビ「TV57VE」の月次販売推移グラフ

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海野商会へのテレビ各機種の販売実績

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